HOME> 本誌情報> 3.5復活号
 

【タイトル題字】平田弘史
【表紙イラスト】鬼山龍宿(りゅうど)

【マンガ作品】
『トラワレノヒト』齋藤なずな 作品紹介
『酒虫』鬼山龍宿(りゅうど) 作品紹介
『砂状の楼閣』山本健太郎 作品紹介
『もんどりうってさわ子』もぷ子 作品紹介
『それはただの先輩のチンコ』阿部洋一 作品紹介
『おにぎりとビール瓶』阿部洋一 作品紹介
『日々を重ねて』奈樫(ながし)マユミ 作品紹介
『創世記第2〜3章』ひさうちみちお 作品紹介
『秘密の手術』松尾キュウ 作品紹介
『ドリーム〜ブタ美ちゃん〜』モサパサ 作品紹介
『しにがみ』山崎高生 作品紹介
『破滅』瑞江駒鳥 作品紹介
『ヴァンパイアの希望』オバタたばお 作品紹介
『手紙』ムライ 作品紹介

【特別ロングインタビュー】
『林海象特別インタビュー〜映画『彌勒』が誕生するまで〜』 聞き手・構成:呉塵罡(ゴジンカン)

【特別収録】
『キッチュと同一性〜アメリカにおけるコミック文化とサブカルチャー〜』 佐藤守弘

【エッセイ】
『あるマンガを描く人の優しいお話』 くれたかし
 

2012年12月発刊
本体価格1200円
(B5版本文276ページ)
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齋藤なずな『トラワレノヒト』

「長いこと隠していて悪かったけど」 老母は病床から娘に静かに語りかけた。 「実は私は―アウン・サン・スーチーなの」 暗闇の雨夜の中、病院の知らせを受け、老母の最期を看取ろうと向う三人。 愛想がなく、身勝手、「言い負かすまで絶対にやめない」と言葉のキツイ…車の中で、老母の思い出を語る三人。 もとより理不尽な性格だった母は、幻覚と妄想が次第に多くなっていた…処刑される佐賀一族、海外旅行、新たに生まれる子供「ヒカル」、そして死の島…

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鬼山龍宿(りゅうど)『酒虫』

『酒虫』とは中国古典怪奇小説集『聊斎志異』の一節であり、日本では芥川龍之介が翻案して書かれた同名小説があります。 これをアレンジの題材にしたのは、単に私は酒好きのと、『聊斎志異』のなかでは有名で分かりやすい小説だったのが原因と言えよう。

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山本健太郎『砂状の楼閣』

山本健太郎という人間の作品と出会ったことで、努力することで身に付けるチカラは確かにある、しかし努力では到底手に入れないモノはあることを、初めて実感することができた。 「コミックビーム」で『ファイトじいじいクラブ』の単行本、また同誌で『ウインド・ハート・ブレーカー』を発表している山本さんからの、全15ページの短編傑作『砂状の楼閣』を送りいたします。 男が自分の部屋で目覚めると、そこには砂・砂・砂…

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もぷ子『もんどりうってさわ子』

私は見た夢の内容をなかなか覚えられません。 特にここ数年、起きた瞬間「昨日なんか夢を見たっけ」と疑問を抱くことすらなく、本能的に思い出す努力そのものまで忘れてしまったように思えたが、「アルコウルの取り過ぎで脳細胞がほとんど死んでますから物忘れが激しいのですよ」という自分をダシにした冗談をあるベテラン少女漫画家に言った時に、相手が真剣な顔をして心配してくださったことで、夢を思い出すことを意識しはじめたわけです。 さて総合マンガ誌「キッチュ」復活号掲載のもぷ子さん作品第二弾、全8ページ『もんどりうってさわ子』です。

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阿部洋一『それはただの先輩のチンコ』

小学生のころ、映画やドラマでキスシーンが出てくるとまず恥ずかしく目をそらしてしまう、しかしながら誰もいない時に鏡でキスの練習をしたっけ… この経験は、いわゆる青春期…と言ったところでしょうか、「好き」という気持ちを手探りで感じたり、表現したりしたものです。 しかしマンガに描いたとき、誰が思い付くものでしょうか… 『それはただの先輩のチンコ』という、新鋭作家阿部洋一さんの全10ページ短編作品……好きになった先輩が欲しい、全てじゃなくでも、一部でいい…そんな彼女が狙ったのは…

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阿部洋一『おにぎりとビール瓶』

ある先達からは炭水化物を減らす健康法の話を伺ったことがあります。 「人間が米を食べ始めたのはここ数百年前のことで、エネルギーの転換易い米(炭水化物)を摂ることになったのは、人間の寿命が延びた原因の一つだが、現代人は炭水化物を摂り過ぎで、実に良からぬことである。」というのが、大まかな根拠であるが、自分もひとまず試してみました。 しかし短気な私はいきなり全ての炭水化物を断った所為か、四日目ほどで気分が悪くなり、倒れ込んでしまったものです…米が恋しく思ったわけです。

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奈樫(ながし)マユミ『日々を重ねて』

自分が、お葬式に出たことは、今のところ二回だけです。それにどうも寿命が長い家系なので、いまだに両方の祖父祖母は健在であります。よって二回とも親族のお葬式では、ないわけです。 ところがその一回目のお葬式は、事件で亡くなったわけなので、自分にとってなおかつ強烈な経験だったのように思えますが、それをあらゆる原語を使っても、その感情ないし経験を説明することが未だにできないという自分の一つの限界を知ったのであります。 さて奈樫マユミさんの作品との出会いはもっと前の出来事でしたが、「気持ち」というモノをここまで絶妙かつ自然に描ける作家を、いまだに他を知らない。

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ひさうちみちお『創世記第2〜3章』

朝日グラフの1999年の号を、インターネットオークションで購入。きっかけは同誌に収録される毛沢東特集でした。 さる酒場でそれを鞄から出しますと、リアルタイムで「キッチュ」としての毛沢東を経験した年齢が謎なレディが「あ、モーモーだ」と声をあげたわけですが、そこで私は「モーモー」という言葉に、宇宙を感じたのであります。 そしてガロ作家の巨匠ひさうちみちお先生も、「モーモー」世代の一人でしょう。思えば超芸術トマソンにダダ貫、芸術の爆発そしてゼロ次元、?魅魍魎が横行した、なんとも楽しい時代でしょう。

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松尾キュウ『秘密の手術』

『禁じられた遊び』を初めて見たのは数年前のこと、自分には考えられなかった安値で売られるディーヴィーディボックスの一枚に収録されていたのであります。 いきなり両親を失くして幼い少女、という展開に驚いた記憶があります。 しかし「あれはラストに女の子が「ミシェル!ミシェル!」と叫びながら人ごみの中に走って行くシーンを見せるだけのための映画なんだよ」と、のち極めて明快な結論を聞きました。確かにそうかもしれないと頷いたものです。 なにはともあれ、この『秘密の手術』に、登場するのは少年と少女であること以外に、共通点はまったくないと言って良いのではないかと考えるが、初めて目にして「あ!禁じられた遊びだね!」と声をもらす読者もいるのではないだろうか。

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モサパサ『ドリーム〜ブタ美ちゃん〜』

夢はトリマー! 頑張るブタ美ちゃん! 動物美容学校に通うブタ美ちゃん、今日もドキドキの練習タイム… でも現実はなかなかキビシイ…先生の酷評を受けたあと、高級ショップで新作アバレルをしらみつぶすと決めた、前向きなブタ美ちゃんです! …モサパサさんの作品と出会ったのは数年前、そのまず目が止まったのは、やはりそのキャラクター、がしかし、読めば読むほどその幻想空間に引っ張られ、主人公と共にその人生のステージに次々と旅してしまう―仰天しながらだ。

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山崎高生『しにがみ』

いじめられる日々を送るよしおくんが最も安らかな気分になれる場所は、トイレであります。そこで「うんこになりたい…」と、彼は呟く。 そんなよしおくんの名前がしにがみ手帳の中に書きこまれていた… 山崎高生さんと初めてお会いした時の印象は、とにかく優しそうな人でした。音楽のことに詳しく、映像美術、舞台美術、広告美術、ファッションショーのアイテム、ディスプレイなどの依頼を引き受けると、いろいろと良い趣味をしておられるなぁ〜と思って、そのマンガを読んでみたらビックリ!

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瑞江駒鳥『破滅』

十数年前に日本に来た時に、単純に散髪するお金がないため伸び放題で片目がほぼ見えない外見から「鬼太郎」というあだ名をありがたくいただいてしまったものです。 今思えば、身長186センチで、当時不慣れのため日本語が片言の自分が、周りにとって恐怖で得体の知らない存在だったでしょう。 しかし瑞江さんは、それをも超えた謎めいた人物です。 初めてお会いしたのは3年ほど前、そのファッションのセンスは、何気なくカッコ良いのであります。マンガを描かれているのは、知っていましたが、拝見する機会はなかなかありませんでした。

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オバタたばお『ヴァンパイアの希望』

私の幼い頃、そう…日本ではアイスクリームは恐らくまだアイスキャンディと呼ばれていたあの頃、味のバリエーションと言えばバニラ以外に、とりあえずチョコレートとストロベリーしか選択肢がなかったわけです。 そこで私は、とにかくストロベリーが大好きでした。 味もそうだったが、真っ白なアイスクリームの上に深紅なストロベリーソースがかかったいるソレが、ヴィジュアル的官能的に見えたから、好きだったかもしれません。 しかしヴァンパイアになったノゾムくんには(求めるものが同じ赤色と言えども)さすがにストロベリーソースではどうにもならないのだろう。

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ムライ『手紙』

小学館のIKKIそして竹熊健太郎氏責任編集のウェブマガジン「電脳マヴォ」で活躍中の作家ムライさんの描き下ろし短編、全4ページの『手紙』です。 少年が、埋め立て予定地の池に残したメッセージ、それは言葉ではない… 「美学」という言葉を、研究者を目指していた頃初めて耳にした。基準は抽象的であっても、「美」と評価するモノの対象の多くは、具体的でありました。

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